第1章 突然の再会は恨みと憎しみを含んでいた

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「おはよー」 教室に入り、廊下側の1番後ろの席に溜まってた友人に声をかけた。 「おう、おはよ」 「あれ、諒、今日少し早くね?」 淡々と手にもった小説から目を離さず挨拶を返した祐斗に対し、朝からやけにテンション高めに訊ねてくる陽生(はるき)。 「え、ああ… 少し早めに目が覚めちゃったからな」 僕はしどろもどろになりながらも答えた。 祐斗も陽生も2人も大切な友人だ。 だが僕の今日早めに学校に来た理由を知られたくはなかった。 小学校からの腐れ縁である灰島祐斗は、基本無表情で反応も薄いが、秀才で且つその雰囲気がミステリアスだと何気に女子からの人気が高く、彼女もいる。 白井陽生はどちらかというと童顔なのに、その顔に似合わずバスケの全国大会にレギュラーで出るほどの運動神経の持ち主である。陽生とは高校からの付き合いだが、そのギャップもしくはやんちゃなところがいいと、毎日のように告白される場面か熱烈な応援団に遭遇する。 一方の僕は勉強も運動もできる方だが、2人ほど図羽抜けていない。彼女もいなければ、熱烈な応援団もたぶん、…いや勿論いない。 「なーんだ、諒も転校生探りに来たのかと思った」 がっかりしたように言う陽生。 「…転校生、何それ?」 そんな話、知らない。
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