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「あれ、知らないのー?うちのクラスに転校生が来るんだよ」
陽生はそう言って、窓際の最後尾の机を指した。確かに7月の終業式のときはそこに机はなかったはずだ。
-でも、おかしくないか?
陽生は「探りにきた」と言った。
そうすると、始業式の今日より前に転校生の存在を知っていたことになるが…
そんな僕の訝しげな顔に気づいたのか、祐斗は口を開いて教えてくれた。
「陽生、昨日バスケ部の練習のあとに、夏休みの宿題を取りに教室に来たらしいんだ」
-ちょっと待て、夏休みの宿題を取りに来たって昨日が夏休み最終日だぞ!?
僕は恐ろしいものを見る目で陽生のことを見た。
「それで、あの1つ増えている机に気づいて…」
祐斗は呆れた顔をして、陽生の方を向いた。祐斗がここまで感情を露にするのは極めて珍しい。
-一体、何を仕出かしたんだ…
若干の恐怖に僕は息を飲んだ。
「それでどんな転校生が来るのか気になったから、朝一で学校に来て、校長室に忍びこんだところを捕獲され、反省文作成中」
祐斗はそう言いながら、400字詰めの原稿用紙を指差した。
「あのさ、何で校長室に忍びこんだのさ?」
僕も大分呆れながら訊ねた。
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