第1章 突然の再会は恨みと憎しみを含んでいた

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「あれ、知らないのー?うちのクラスに転校生が来るんだよ」 陽生はそう言って、窓際の最後尾の机を指した。確かに7月の終業式のときはそこに机はなかったはずだ。 -でも、おかしくないか? 陽生は「探りにきた」と言った。 そうすると、始業式の今日より前に転校生の存在を知っていたことになるが… そんな僕の訝しげな顔に気づいたのか、祐斗は口を開いて教えてくれた。 「陽生、昨日バスケ部の練習のあとに、夏休みの宿題を取りに教室に来たらしいんだ」 -ちょっと待て、夏休みの宿題を取りに来たって昨日が夏休み最終日だぞ!? 僕は恐ろしいものを見る目で陽生のことを見た。 「それで、あの1つ増えている机に気づいて…」 祐斗は呆れた顔をして、陽生の方を向いた。祐斗がここまで感情を露にするのは極めて珍しい。 -一体、何を仕出かしたんだ… 若干の恐怖に僕は息を飲んだ。 「それでどんな転校生が来るのか気になったから、朝一で学校に来て、校長室に忍びこんだところを捕獲され、反省文作成中」 祐斗はそう言いながら、400字詰めの原稿用紙を指差した。 「あのさ、何で校長室に忍びこんだのさ?」 僕も大分呆れながら訊ねた。
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