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「あんた、めっきり可愛くなったじゃないの」
玄関で学校指定のローファーを履いていると、背後から母が声を掛けてきた。7月中ずっと海外に出張していたから、私の制服姿を見るのはかなり久しぶりのはずだ。
「そ、そうかな…」
私は7月の頭に人生で2回目の恋をして、昔好きだったお洒落を再びするようになった。それは1か月経たずして失恋した今も変わらない。好きだった知己さんには恋人がいて、それは私の大好きな姉、あいねぇだった。失恋したからといってまた元に戻って、私の変化を喜んでくれたあいねぇや親友の美和を心配させたりはしたくなかったし、やっぱりお洒落が好きなことを自覚したからだ。
「それじゃあ、行ってき…」
「待った!」
私が家を出ようとしたとき、あいねぇが家の奥から大きな声で叫んだ。
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