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「この新作のシュシュ、つけていきなよ」
あいねぇは可愛い小物が大好きで、ときには自分で作ってしまう。私とは違って、女子力の塊だ。
「まだ時間あるよね?3分だけ時間頂戴」
一応質問しながらも私の返事など一切聞かずに、あいねぇはどこからか櫛を出してきて私の髪をいじり始めた。あいねぇは私がお洒落にまた目を向け始めると、人一倍私にいろいろ教えてくれた。だが今日のように、出かける直前に髪形を直し始めたのは初めてである。
するとあいねぇは、私の耳に顔を近づけ、そっと小声で言った。
「学校で好きな子に可愛いって思ってもらえるといいね!」
あいねぇは私が失恋したことを知らない。幾ら仲のいい姉妹でも、姉の彼氏を好きになったと言えば複雑だろうし、あいねぇにそんな思いはして欲しくはなかった。
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