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はじまり。
うちのおじいちゃんは昔から近所の変わり者だった。
そのおじいちゃんの血なのか、母も変わり者だ。
俺が小さい頃に、パチンコで借金を作った挙げ句仕事先の金を横領した父の悪行を知り、母がその父をリビングで引きずり回した挙げ句ずたぼろの父を離婚届と共に放り出した事件がある。
放り出された父の顔が、余りにも酷いものだったので、近所の通報を受け駆けつけた警官はまず父を母から保護したほどだ。
まあ、父もボコボコにされて当然の悪行を重ねているのだから、同情のしようもないが。
そんな過激なコミックみたいな離婚をしたので、母は父から養育費も受け取っていないようだった。
破産宣告、ってので一文無しになった母は、実家であるおじいちゃんちに、引っ越してきた。
おじいちゃんちは信じられないくらい田舎の、大きな屋敷に住んでいた。
会ったのは引っ越してきた日、初めてだった。
俺はまだ五才とか、六才だったと思う。
自分で言うのも何だが、一番可愛い盛りだろう。目に入れても痛くないといったほどの。
屋敷は山奥で、周りの都市も村、と言った感じだった。
無論、子供は少なく、老人が異常発生している少子化の波の最先端、といったような村だった。
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