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「目、覚めたか。やっぱり酔い冷ましはの秘薬はよく効くな。健、そこに座りなさい。大事な話がある。」
今まで聞いたこともないような重々しい声だった。
それに秘薬、とかいう聞き慣れない言葉も相まって、いつものじいちゃんというよりもっと偉い人みたいな気迫があった。
「お前の勇敢な先祖の話だ。」
「…じいちゃん、しっかり空気浸ってるとこごめん、しっこ行ってからで良い?」
なんか長そうな話が黙っていたら始まりそうな雰囲気だったので、俺ははちきれんばかりの膀胱の内側からの訴えかけに冷や汗を流しふるふると震えながら消え入りそうな声でじいちゃんに勇気を振り絞って伝えた。
こんなにトイレいく前に緊張したのは、小学校時代、国語の黙読時間中に先生にトイレ、と伝えるとき以来だった。
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