はじまり。

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「ごめんごめん。で、なんだったっけ。」 溜まりに溜まった尿を全部出しきって、すっかりすっきりした俺は、ひょいひょういと袴姿で寝室に戻ってきた。 俺が寝かされていた布団はもう片づけられていて、 広い座敷の真ん中に、正装をしたじいちゃんが姿勢良く正座をして待っていた。 いつも泥まみれで畑をいじる剽軽なじいちゃんの見る影はなく、まるでタイムマシンでタイムスリップしてきた侍のような迫力が確かにあって、俺は僅かに唾をごくりと飲み込んで、襖の敷居付近でたじろいだ。 室内に入ったらその瞬間、刀で首を飛ばされる。そう思えるほどの迫力だった。 「そこに座りなさい。やっと落ち着いて話ができるな。」 じいちゃんと向かい合わせになるようにおかれた座布団を俺に薦めながら、じいちゃんが静かに言葉を続ける。 「覚えとるか?俺は、お前が勇者の末裔だとお前がこんなに小さかった頃に言ったよな?それに、高校生の時だったか?お前がこんくらいの背ぇになった時だ。俺に聞いただろう?勇者の末裔っていう根拠は?って。」 じいちゃんは着物の袖をはためかせながら、その都度俺の当時の座高を掌で示しながら、話を進める。     
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