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ただでさえ高所恐怖症にも関わらず、突き返された回答は無残なものだった。
『無理、0』
次の瞬間、地上250メートルで緑の閃光が夜空を走り抜けた。その姿はまるで流星のごとく、風邪を切り裂きながら時速200キロ以上の早さで空を駆け抜ける。
『ルートまでは自動操縦で行ってるけど、微調整は装着者本人に依存する。目を開けて』
「無理無理っ!」
『前方200メートルに障害物確認、接触まで3秒』
顔にバシバシ当たる風の感触と高所を飛んでいるという恐怖が、イヤホンから流れる警告音に優った。目を見開くと前方に自動で動いてあるだろうクレーンのようなものが猛スピードで接近してくる。
とっさに左腕を下げて、右腕を上げる左に旋回してなんとかギリギリで接触を免れることができた。
『回避性能に問題なし』
「問題大有りだっ! こんな猛スピードで飛んでて目を開けられるかってのっ!」
『装着者自身の身体スペックに問題有りだと判断。ゼロは悪くないもん』
「調整し直しておけっ! てか二度と飛ばねぇからなっ!」
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