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プロローグ
『陽動作戦、開始を確認』
「おぉ、ドンパチやってるじゃん」
嵌められたイヤホンから聞こえて来た無機質な女性の声。ゴーグルの標準装置を起動させて前方をズームして見るとそこには巨大な塔の下で夜にも関わらず、昼のような明るさで爆発が起こっているのが確認できた。
『陽動作戦開始から残り3分と12秒で接近を開始。装備の起動を確認を推奨』
「りょーかいりょうかい、というかいい加減その硬い喋り方やめねぇか?」
『否定。「会話」は非物質「硬い」という認識はできない』
「そういう表現をすんの、人間は」
『学習領域に「言語発生には物質的表現を含む」と記録』
「ん?、そういうことでもいいけどよ」
現在視界に表示されているゴーグルの横でデジタルの表記のタイマーが回っている。そして、正面に見える真っ白に爆発の光でライトアップされた塔の方を覗きながら装備の確認をしてゆく。
『残り2分』
「まぁ、そう急かすなって。せめて一曲聞かせてくれてからじゃダメ?」
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