第一部 お見合い編 1

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 ニコルは何か励まそうかと考えて、結局、口をつぐんだ。二つ上の兄と、三つ下の弟をちらと伺う。二人ともゆるやかに首を振り、口出し無用だと、無言のうちに指示をした。  血筋だけは古くて由緒正しい名家であるが、フェザーストン家の家計は火の車だ。元々、貴族だからといって、それほど裕福なわけでもない。領地を流れる川は恵みをもたらす一方で、数年置きに氾濫を起こし、それまでの利益を全部台無しにする。  堤防を作ろうにも、領地を流れる川はちょうど半ばくらいなのだ。つまり、他の領地と協力しあわないと意味がない。  ちょうど急カーブをする氾濫しやすいポイントがこの領地で、上流と下流では問題ないから、そちらが金を出し渋って、まったく問題が解決しないのだった。  だましだましやってきたが、今回はとどめになった。 (とりあえず今日のごはんはおいしく食べよう)  悲観してもしかたがない。  食事を胃におさめることに決めたニコルは、父の取り乱しようを横目に、せっせとパンを食べる。  そうしなければ、魔力を放出する体質のニコルは、そのうち倒れてしまうのだ。寝ていれば回復するとはいえ、燃費が悪すぎて嫌になる。おかげで屋敷からほとんど出られない。     
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