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「お前が知らないのに、俺が知るかよ。夫婦喧嘩にしては深刻そうだが、隊長は『保護する』か『居場所を把握する』しか言わないだろ」
男達は魔法使いではなく、リッツフィールド北部にある村の者だ。竜が冬眠前で、あまり大きく人手をさけなかった。副団長のオルヴァに従って、魔法使いが二人、部下としてついていたが、それだけでは足りないので、村人を六人ばかり雇ったのだ。急ごしらえの小隊だった。
フェザーストン家では冷たく追い払われ、オルヴァは部下に情報収集を託し、いったんリッツフィールドに戻った。おかげで村人達は気楽なものだが、くれぐれもオーガスト領の人間とは問題を起こさないようにと、口をすっぱくして注意されている。
仕事中に酒を飲んでいるのがバレたら、あの魔法使い達は良い顔をしないだろうが、農民として生きてきた彼らにとって、冬に手早く暖をとるため、酒を一杯引っかけるのは普通のことである。
「理由は知らないが、嫁が悪いに決まってる。領主様は若いが、ご立派な方だ」
「ああ、あんなお小さい頃から、領地の勉強にとお父上の後をついて回って……。次代も安泰だと思ったもんだぜ」
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