4 ブラッドリー視点

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 水を飲ませると、メイドが差し出したタオルで、ニコルの口元を拭う。  今は閉じられていて見えないが、ニコルの青い目は、ブラッドリーが遠乗りに行く湖畔と似ていた。宝石みたいに輝く水面のようで好きだ。思ったよりも睫毛(まつげ)が長い。できの良い人形みたいだ。 (お試しを早く終わらせろとうるさかったのが面白い)  十六で成人した頃から、ブラッドリーは魔力不安定症をわずらっている。それから痛みをやわらげてくれる番を求めて、三ヶ月に一度、お見合いをしていた。発情期などでパーティーに参加できない者の所には、わざわざブラッドリーが訪ねていくくらい、探し回っていた。  成長痛のような骨の痛みがたびたびやって来る。それはまだ良いほうで、時には激痛でベッドを転げまわるはめになった。痛む部分の骨を取り出したいと、何度思ったか。魔法を使えば少しは治まるが、すぐに回復するせいで、しばらくすればまた痛みにさいなまれる。  相性の良いオメガを得られれば、魔力が安定して、痛みが消えると聞いていたから必死だったが、それを良いことに、お見合いを餌にして、利益を引きだそうという貴族もいて、この一年半でいろんな闇を見てきた。  男女問わず、オメガにはたくさん会った。     
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