4 ブラッドリー視点

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 どれもか弱く小さい。綺麗な顔立ちの者も多いが、性格も様々だ。過保護に育てられたせいで甘えている者や、我が儘な者、貴族の出自のせいか他者を見下す者、アルファに(こび)を売る者、弱いから気遣われて当然だと思っている者……など。もちろん常識的な者も多くいたのだが、ネガティブなほうが意識に残りやすい。  いったいどんな相手が、ブラッドリーの薬になるのやらと、戦々恐々としていた。余程性格がひどければ、表に出さないように閉じ込めておこうかと思っていたくらいだ。  だが、今は違う意味で、部屋から出さないほうがいいのではないかと感じている。 (こんな可愛い生き物、外に出すなんてとんでもない。さらわれそうだ)  行為の途中で、ニコルが離してともがいていたが、(こぶし)で叩かれても、ブラッドリーにはそよ風みたいなもので、まったく痛くもなんともなかった。悪人に狙われたら、抵抗もできずに連れていかれそうだ。  おかげでブラッドリーの中に、庇護欲が湧いた。 「お湯の用意ができましたよ」 「分かった」  レインの呼びかけで、ブラッドリーはニコルを抱えて風呂場に移動する。 「言っておきますが、ムラムラしても、これ以上の手出しは禁止ですよ。もし手を出したら、連れて帰りますからね?」  風呂場に入る前に、レインに口をすっぱくして注意されて、ブラッドリーは苛立った。まるで自分の所有物みたいに言うのが気に(さわ)る。     
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