第一部 お見合い編 1

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 それが運命的なつながりのあるオメガならば、(つがい)になることで、魔力を安定させながらも魔力を更に増やすことができる。  そういうわけで、運命の番を得るのは、アルファにとっての夢だった。  だから肉体的に貧弱でも、嫁として送り出されるその日まで、オメガは大事に育てられる。 「旦那様、アマースト侯爵家より招待状が届きました」  そこへ、執事が銀盆に手紙をのせて運んできた。 「招待状?」  父はけげんそうにしながら、手紙を読む。 「これだっ」  そして、今までの瀕死のありさまが嘘みたいに、明るい顔で椅子を立つ。 「アマースト侯爵家が、長男の見合いのため、夜会を開くそうだ。オメガであるニコルに参加して欲しいそうだ。馬車に衣装代にと全て用意してくれるそうだぞ!」 「でも、ニコルはまだ……。あら、今日が誕生日ではないの。ごめんなさい、ニコル。誕生日おめでとう。あなたも立派な大人になったのね」  母がようやくニコルの誕生日を思い出して、申し訳なさそうに謝る。 「いいんです、お母様。お言葉だけで充分です」 「いいぞ! ニコルは体が弱いが、性格は良いからな。きっと気に入っていただける! あとはお試しでの相性次第か……。かの御子息は、魔力不安定症をわずらっておられるからなぁ」  父は思案げに呟いた。     
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