第壱話 かつて伝説だった者達

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賢者達は急ぎ各国を結び、同盟を結成。魔王討伐の対処を進める。…が、35年の間平和に溺れた兵士や騎士達は魔物との実戦経験はなく、更に若者の戦士離れが進み各国は苦戦を強いられる。各国は魔王討伐の勇者志願を募るも、既に文明の利器に慣れすぎた人類は娯楽により、芸者や技術職に味を占め勇者に志願する者など一人として現れなかった。 更に魔王軍の策謀により若者は取り込まれ、魔力を越える力「チート」を与えられ、僅か半年の間でその1割が人類と敵対してしまう。 「チート」と呼ばれる圧倒的な力と増え続ける魔物により、人類の敗北は時間の問題とされていた。 最早、賢者達は最後の手段をとらざるを得なかった。それは賢者達にしてみれば愚策中の愚策。 そう、かつて世界を救った勇者一行(平均年齢50歳)そして幽閉されている前魔王ホワイティア(500歳)に再び立ち上がってもらう事だった。 「はぁ…めんどくさ…」 12の大国による同盟騎士団、いわば賢者達のお抱え騎士による唯一の十代、その優秀で貴重なる若手アレンは世界最大の監獄、その最下層へと降りていた。 彼の任務は一人の老人の護衛。それは12人の賢者の一人。かつて栄え大国にまで発展した国の元女王ヴァンクリーフ・ルリア・スカーレット御年70のお付きである。 お伽噺の中で聞いた魔王と勇者、魔物と人類の争い。その中に出てくる12の王国。その内の一つ王都「ヴァンクリーフ」。物語のその都で勇者と出会う王女がまさしくその老人であった。     
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