第壱話 かつて伝説だった者達

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正直、大戦については単なる寓話だと幼い時は思っていたが、その登場人物本人に仕える事になっては少しは信じざるをえない。 「ここにその魔王ってのがいるんすか?」 「そうなのです、厳密に言うと魔女なのですが」 「それ、何か違うんすか」 「全然違うなのです」 「…まぁ、どっちでもいーんすけど」 相も変わらず変な話し方をするなと思いつつ、最下層へ続く階段を降りていく。 「あなたは剣では神童と言われる程、才溢れる者なのですが性格に難ありなのですね」 何度目だそれ、と思いつつそれ以上の話はせず無言で進む。 (転職するか…でも給金いいしな…) (別に俺は好きで剣を活かす道を選んだわけじゃない、たまたま得意だった事で金を稼いで楽に生きたいだけだ) (騎士ってのは安定はするけど何も面白くねーもんだなぁ…) 「ここなのです」 アレンの目の前にはいつの間にかいくつもの封印が施された重厚な大扉があった。 (ま、今は任務に集中するか…) ルリアが扉の前で魔法陣を展開し、封印を一つずつ解いていく。剣の才は突出しているアレンだが魔法についてはからっきしだったので警戒をしながらその作業を見つめていた。その警戒もかつて大型の獣を相手取った程度のものだった。つまるところ、完全にお伽噺…伝説を舐めてかかっていたのだ。 「……マジか…」     
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