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「俺はまだ弱い方だって。俺の得意はどっちかっていうと斥候なんだ。遊撃が得意なランバートやウェイン様より地味なんだよ」
西で行動を共にしたレイバンが思いだしたように言い、それにチェスターは苦笑する。
こうは言うが、チェスターだって十分に強いのは本当の事。あの時は、あんまりな人数に囲まれすぎて状況が非情に悪かったのだ。
「そろそろ、十分が経ちますが」
審判のリカルドが声をかけ、また全員がフィールドに戻っていく。
こうして本気の雪合戦は徐々に熱を帯び、それにつれて全員の目は疲労から血走っていくのだった。
正午を過ぎた頃、負けチームは昼食を作り、勝利チームは暖炉の前で体を温めている。
「足の先がジンジンする」
レイバンが足先を摩りながらそんな愚痴をこぼし、雪を知っているメンバーは苦笑した。
「仕方ないよ」
「雪用のブーツでも、限界があるんだな」
「まぁ、そんなもん。手袋もだろ?」
「俺なんて尻が……ズボンまで濡れた」
ラウルやチェルルは苦笑するが、ゼロスとドゥーガルドは腑に落ちない様子だ。
「皆さん気をつけてください。そうした部分が更に冷やされて凍傷になります」
リビングで順次マッサージなどを施しているリカルドが眉根に皺を寄せて、警告じみた事を言う。
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