白熱の雪合戦?

9/14

388人が本棚に入れています
本棚に追加
/81ページ
 彼らが雪掘り用に使っているのはスコップなどではない。頑丈で長い鉄の杭で、上半分には革がグルグルに巻かれている。それを木製のハンマーで殴りながら少しずつ削っているんだ。 「一番原始的な方法」 「実際任務する時は?」 「スコップ持ってくけれど、常に使える環境にあるとは限らない」 「これで人の入れる穴掘るなんて死ぬ!」  ランバートは平然とした顔で作業を止めず、ボリスは実際の行軍の話をする。ややキレ気味だが、全員が同じ事を思ったのは沈黙が何より雄弁に語っている。  グチグチ言いながらも突き進む事数時間。ようやく全員が入れる穴を自力で掘り出した面々はドッと疲れていた。 「もう、腕パンパン……」 「それでも素晴らしいですよ。ちなみに、寒い場所で鉄製品を素手で持たないでくださいね」 「何故ですか?」 「あまりに寒さが厳しい場合、握った手に鉄はくっつきます。無理に剥がせば皮がめくれてしまいますよ」 「ぎゃぁ!」  リカルドの有り難いお言葉に、ハリーがやっぱり大きなリアクションをしている。だがレイバンなどはもう愚痴る気力もないのか蹲ってしまっていた。  全員が穴に入ってみる。コートが僅かに濡れているが、それでも風を遮れるだけ温かさは増す。さらに狭い所に大人数だ。余計に温かい。 「濡れた服とか、よく脱ぐって言うけれど。それって正解?」     
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

388人が本棚に入れています
本棚に追加