ジェームダルへの道

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ジェームダルへの道

 ラウルの記憶喪失事件から数日、騎兵府宿舎にシウスとクラウル、そして何故かリカルドが集まって今後の方針が話し合わせた。 「雪中実地訓練、ですか」  提案された内容に、ランバートは冷静に答えた。これに、ファウストは静かに頷く。 「何処かでやらなければと思っていたことだ。特に今回、先行するお前達には必要な事だろう」 「ラン・カレイユへと渡るのですよね? 雪中訓練が必要とは思えませんが」 「その予定が、変更になりそうなんだ」  クラウルの深刻そうな顔を見る限り、どうも状況は良くないらしい。ランバートも覚悟しなければならなかった。 「既にラン・カレイユの情勢は持ちこたえられない。春には危険だ。今現在も彼の国の支配権はジェームダルへと移りつつある。その状態で帝国から直接ラン・カレイユへと入るのは、マークされてしまう」  ランバート達先行隊はラン・カレイユ経由でジェームダルへと入る予定でいる。敵対はしていないが、直接帝国からジェームダルへと入る事は厳しいからだ。  今回は隠密行動。帝国の人間という部分をできるだけ薄くしなければ敵国内で動きが取れなくなる。 「では、ラン・カレイユへと入る前にワンクッション置こうと?」     
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