雪山初日

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雪山初日

 あっという間に雪山行きの日、意気揚々とするウェインとは違いレイバンは寒そうにコートの前を握っている。 「信じられない……」 「レイバン遅れるよー」 「どうして皆そんなに平気なのさ!」  不満タラタラというレイバンはそれでも馬を走らせる。 「寒いよね」 「そのわりに余裕そうだよ、クリフ」 「そう? ロッカーナも田舎だったからかな?」  一番最後を行くランバートの隣で、ラウルは苦笑していた。 「大丈夫かな?」 「何が?」 「今日はとりあえずロッジに到着が目的だし、今日の食事は流石に持参だけど……四日間、これでもつかな?」 「持ってもらわないと困るだろ? そういう訓練」 「外泊も、するんだよね?」 「穴掘って泊まるよ」 「レイバン、凍死しなければいいけれどな」  心配そうなラウルの表情は、それでも見守るように温かなものだった。  目的地は王都から十時間程度の山の峰。そこには高床のロッジがあり、風呂は温泉掛け流しという恵まれた場所だ。  外が暗くなる時間に目的のロッジに到着すると、中から一人の青年が顔を出す。大半の者がその人物に最大限の警戒を示した。 「やっとついた。食材の運び込み終わってるよ」 「悪い、チェルル。一人で任せたな」     
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