エピソード9 後悔、そして

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(な、何だ!?) 何者かの邪悪な気配がする。 おかしい。絶対におかしい。 我々クロア家が、どこかの者達に恨みを買う様な行為など、それこそ記憶に無い。 「リト君、様子を見てきてくれるかしら」 僕はその時、偶々リリア様の近くにいた。 「は、はい!」 リリア様の命で、僕は直ぐに動いた。 二階から一階へ降りると、そこは阿鼻叫喚の地獄絵図が広がっていた。 血塗れになって倒れる屋敷のメイド。 今まさに切り捨てられた庭師。 奴等の一人に足蹴にされている、旦那様の遺体。 そしてそれをやったのは、手に刃物をぎらつかせた複数人の男達。 「お、お前達は何者だ!」 「行け。コイツは俺がヤっとく」 その内、血の様に赤いスーツを来た男が一人その場へ残り、それ以外は他所へと向かった。 言葉通り、男は僕を殺そうとしている様だ。 男の持つ刃物が僕へ迫る。 だが、僕はまだ死ぬ訳にはいかない。 クロア家の今後を見つめ続ける為に、ここでやられる訳にはいかなかった。 相手は僕の事も、今まで斬り捨てて来た非戦闘員だと思ったのだろう。 その攻撃は油断を孕んだ、とても単純な太刀筋だった。 僕はそれをかわし、男の持つ武器を蹴り落とす。 ──ごとり。 しかし男もまた戦いのプロだった。 「チッ」 武器をはたき落とされたとなれば、素早い身のこなしで一瞬にして僕から距離を取った。
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