70人が本棚に入れています
本棚に追加
「なっ、治った!」
色々な薬草を組み合わせて作ったこの薬は、お父さんから教わったやり方で、少女がアレンジを加えつつ調合したものでした。
良薬口に苦しと言いますが、苦味を抑えてすんなり飲み込める様に一手間加えてあるのです。
「本当にこれ、お嬢ちゃんが作ったのか?」
「え? は、はい」
「凄いじゃないか! こんなに効く薬は初めてだぜ! ひょっとしたら、将来は有名な薬師になれるかもしれないな! ありがとう!」
青年は少女と会ってから、ここに来て初めて笑顔を見せました。
よく見ると中々端正なマスクで、今までのギャップもあってか、年頃の少女にはどきりとするものがあります。
「あ、ありがとうございます……」
少女は思いました。
この人、そんなに怖い人じゃないのかな? と。
しかし少女は薬師である前に店番を任された商人です。
薬の代金は支払って貰わなければなりません。
「じゃあ、1200バグになります」
「えっ、金取るのか?」
最初のコメントを投稿しよう!