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「う、うん……」
カナは目の前でここまで激昂するお父さんを見たのは初めての事でした。
口答えする事も出来ず、言われた通りに店の奥へと行き、お父さんが採ってきた薬草の選別を始めます。
しかし……忘れろと言われても、カナには先程の旅人の事を忘れる事が出来ませんでした。
道具屋に入ってきて、第一声が「トイレを貸せ」なんて、そんな客が他にいるでしょうか?
悪い意味合いですが、それが逆に脳裏に強く印象付けられてしまい、忘れようとしても忘れられませんでした。
出会いのシチュエーションこそ少しがっくり来ますが、意外な事に表情豊かだった青年に、どんどん興味が湧いてしまったのです。
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