70人が本棚に入れています
本棚に追加
エピソード1 旅人
「いつもありがとさん。ブンタさんにもよろしく言っといてね。それじゃあ」
「はあい、ありがとうございました。お大事に」
とある村の一角で、元気な声が響きます。
緑の癖っ毛を揺らし、少女がお辞儀しました。
出口の扉が開かれ、少女が見送る中で男性は建物から出て行きます。
扉が閉じられると同時に、少女は溜息をつきました。
「はぁ……今日もお客さん少ないなぁ……」
少女はお父さんと二人で道具屋を営んでいます。
今日は道具や薬の材料を採取するのをお父さんが担当し、少女は店番中。
しかし一日に来るお客さんはそれほど多くなく、たった今店を出て行った男性がその内の貴重な一人でした。
つまりは……とっても退屈な日々を送っているのです。
最初のコメントを投稿しよう!