エピソード1 旅人

1/61
前へ
/1248ページ
次へ

エピソード1 旅人

「いつもありがとさん。ブンタさんにもよろしく言っといてね。それじゃあ」 「はあい、ありがとうございました。お大事に」 とある村の一角で、元気な声が響きます。 緑の癖っ毛を揺らし、少女がお辞儀しました。 出口の扉が開かれ、少女が見送る中で男性は建物から出て行きます。 扉が閉じられると同時に、少女は溜息をつきました。 「はぁ……今日もお客さん少ないなぁ……」 少女はお父さんと二人で道具屋を営んでいます。 今日は道具や薬の材料を採取するのをお父さんが担当し、少女は店番中。 しかし一日に来るお客さんはそれほど多くなく、たった今店を出て行った男性がその内の貴重な一人でした。 つまりは……とっても退屈な日々を送っているのです。
/1248ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加