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「リト君。今日もよろしくね!」
「は、はい!」
月に何度か、リリア様と一緒に街へ買い物に行く機会があった。
あのリリア様のお近くにいられる。当時の僕はそれだけでどきどきした。
買い物に出かける事は僕にとってちょっとしたご褒美でもあったし、リリア様に恥じない使用人になるべく、大慌ての毎日も耐え忍ぶことが出来た。
そして月日は経ち、僕が、今くらいの身長になった頃。
世代は交代し、今やリリア様がクロア家の当主となられた。
父や母も、「これからは若者の時代だ」と、一線を退いた。
僕もあれから、指示を受けて仕事をする立場から、後輩達に指示を出し、屋敷の使用人を指揮する立場へと変わった。
と言っても、屋敷の仕事の内容に変わりはない。
使用人達が一丸となり、屋敷全体の仕事を担う。
ただ一つ……変わった事と言えば……
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