エピソード9 後悔、そして

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リリア様は、夫婦(めおと)となられた。 お相手は、地方の貴族から迎え入れた子爵の男。 誠実な方で、この方なら、リリア様と一緒にクロア家をきっと繁栄させてくれる……誰もが、クロア家は安泰だと思った。 しかし同時に、僕は心の中がずきずきと痛んだ。 たぶん、リリア様が、その男……旦那様に取られてしまったんだと思ったのだろう。 貴族同士の結婚にはよくある話だ。親同士が本人の意思を無視して政略結婚を強いるというのは、僕も聞いたことがある。最初はそうなのだと思った。 リリア様は望まない結婚をしたのだと。 そして、いつもの買い物の時、何気なく、リリア様に聞いてみた。 「リリア様! あ、あの……」 「どうしたの?」 本当に、僕は、なんという無礼者なんだろう。 しかし、このまま不満を溜め込むのは、僕には耐えられなかった。
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