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リリア様は、夫婦となられた。
お相手は、地方の貴族から迎え入れた子爵の男。
誠実な方で、この方なら、リリア様と一緒にクロア家をきっと繁栄させてくれる……誰もが、クロア家は安泰だと思った。
しかし同時に、僕は心の中がずきずきと痛んだ。
たぶん、リリア様が、その男……旦那様に取られてしまったんだと思ったのだろう。
貴族同士の結婚にはよくある話だ。親同士が本人の意思を無視して政略結婚を強いるというのは、僕も聞いたことがある。最初はそうなのだと思った。
リリア様は望まない結婚をしたのだと。
そして、いつもの買い物の時、何気なく、リリア様に聞いてみた。
「リリア様! あ、あの……」
「どうしたの?」
本当に、僕は、なんという無礼者なんだろう。
しかし、このまま不満を溜め込むのは、僕には耐えられなかった。
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