エピソード9 後悔、そして

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そしてリリア様は、思いも寄らない事を僕に言った。 「そうね……昔のリト君に、とても似ていたから、かしら」 リリア様が仰るには、相手の貴族の男とは幼少の頃から面識があったらしく、お互いに文通を続けて、そして結婚をしたのだそうだ。 しかし、その理由には、何か引っかかる所があった。 『昔の僕に似ていたから』。 リリア様は、確かにそう言ったのだ。 「リト君みたいに真っ直ぐな、綺麗な瞳で、私を見つめるの。一目惚れ、かしらね」 一目惚れ。 そんなまさか、とは思った。 しかし似たような思いを、僕も経験している。 でも、僕はその時、抑えきれなかった。 「なら、僕では! 駄目だったのですか!?」 こんな莫迦な台詞を、よく言えたものだ。 一使用人が主人にこの様な感情を抱くなど、分不相応にも程がある。 誰かに聞かれでもしたら、ただでは済まされない。
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