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言葉を吐き出した後に後悔しても、もう遅い。
しかしリリア様は、その台詞を大笑いして受け止めた。
「リト。あなたの事は大好きよ。あなただけじゃないわ、お母様も、アンリさんも、他の方も、皆大好き。だからこそ、私はあの方と結婚したの。あなた達の生活を守る為、そしてあなたの様な、素敵な男性の可能性を摘んでしまわない為に、私はあの方との結婚を決めたのよ。勿論、あの方の事は、本当に愛してるわ」
驚いた。
僕はそれほどに、旦那様と似ていたらしい。
しかしだからといって手を出せば、僕を歪ませてしまう。父や母や先代を不幸にしてしまう。クロア家の持つ誇りを地に落としてしまう、と考えたのだ。
「あなたはあなたの恋をしなさい。こんなオバさんじゃなく、ね。あなた程の男性に見初められた女性は、きっと幸せになるわ。私も今、とても幸せよ。そしてもしよければ、これからもクロア家の為に働いてちょうだいね」
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