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僕はその時も、涙を流していた。
「はい……リリア様」
同時に、僕の初恋は終わったのだと理解した。
そして祝福の中で、
──おぎゃあ、おぎゃあ!
リリア様が女の子を出産された。
産婆が女の子を取り上げ、その後の経過も母子ともに健康。
『リラ』と名付けられたその女の子は、リリア様や旦那様の腕の中で、健やかに眠っていた。
僕は改めて決意した。一生を懸けてクロア家に、リリア様、リラ様に仕えるのだと。
新しい命は、新しい使命でもあった。
リリア様はとても幸せそうで、彼女の幸せは、僕にとっても幸せだった。
あの日が来るまでは。
ある日。
屋敷の付近で轟音が鳴った。
何かが爆発する様な、とても耳障りな音だ。
数分の後、轟音はクロア家の敷地内でも発生する様になった。
「奴等」は、最初からこの屋敷を狙っていたのだ。
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