70人が本棚に入れています
本棚に追加
リリア様は僕の腕をぎゅっと掴んだ。
リリア様もまた、覚悟を決めていた。
僕の主人はリリア様。命よりも大切な存在。
その、命よりも大切なお方が、命を懸けて僕に命令をしている。
……はい。
僕は、あなたの命令に従いましょう。
「……あぁ?」
奴等の視線がリリア様に集中する。
リリア様が、リラ様を僕に預けた後、二歩ほど前に出たからだ。
「覚悟が決まったみてぇだな」
「覚悟? そうね。あまりこの力は好きじゃないのだけど」
そしてリリア様は、カリアと呼ばれた男に突撃した。
「気を付けなさい。この力は、あまり加減できないから」
覚悟を決めたあの方は……強い。絶対的に強い。
──キシャアアアアアアアッ!
奇怪な怒号と共に放たれたリリア様の攻撃は、カリアを易々と吹き飛ばした。
「うおッ!?」
カリアは手に持つ刃物で防御した様だが、その勢いは凄まじく、バルコニーに続く窓から、大きく距離を取る事となった。
最初のコメントを投稿しよう!