エピソード9 後悔、そして

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リリア様は僕の腕をぎゅっと掴んだ。 リリア様もまた、覚悟を決めていた。 僕の主人はリリア様。命よりも大切な存在。 その、命よりも大切なお方が、命を懸けて僕に命令をしている。 ……はい。 僕は、あなたの命令に従いましょう。 「……あぁ?」 奴等の視線がリリア様に集中する。 リリア様が、リラ様を僕に預けた後、二歩ほど前に出たからだ。 「覚悟が決まったみてぇだな」 「覚悟? そうね。あまりこの力は好きじゃないのだけど」 そしてリリア様は、カリアと呼ばれた男に突撃した。 「気を付けなさい。この力は、あまり加減できないから」 覚悟を決めたあの方は……強い。絶対的に強い。 ──キシャアアアアアアアッ! 奇怪な怒号と共に放たれたリリア様の攻撃は、カリアを易々と吹き飛ばした。 「うおッ!?」 カリアは手に持つ刃物で防御した様だが、その勢いは凄まじく、バルコニーに続く窓から、大きく距離を取る事となった。
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