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──ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
青年が入って来た途端に鳴り始めた謎の音のようなものも、少女を圧倒します。
「あ、あの……」
あなたは強盗なんですか? と訊く訳にもいかず、少女は黙ったまま、涙目で青年を見つめ続けました。
「と……ッ!」
──ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
今まで威圧感たっぷりにこちらを睨みつけていた青年が、ようやく一言発します。
無論、彼が何を伝えたかったのか、少女には見当がつきません。
「と……?」
少女は、恐る恐る訊き返しました。
すると青年の眉間には、更に皺が寄ります。
正に鬼の形相。どうして自分がこんな目に遭わなければならないのか、少女は何が何だか分からなくなりました。
やがて青年は、この世の終わりを目撃した隠遁者の様な表情で、もう一度声を発します。
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