神様の前では誓えない

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 「新曲、出たんでしょ?どうだった?」  私はスプーンでカレーを口に運びながら、直輝に問いかけた。  「うーん……今回こそはもっと売れると思ったんだけどね」  「じゃあランキングも厳しそう?」  「……10位以内には遠く及ばない感じかな。良い曲ができたと思ったんだけどなぁ」  「そっか、私も良い曲だと思うんだけどね」  直輝は売れないミュージシャンだ。一応小さな音楽事務所に所属してインディーズレーベルでCDも出している。インディーズのランキングで10位以内に入るというのが直輝の目標だった。新曲の話をしている時も直輝はいつも通りへらへらと笑っていたけれど、「この曲は自信作だから、絶対に前回よりは枚数売れると思うんだよね」と期待が大きかっただけに、内心かなり落胆しているのが言葉の端々から見て取れた。  「それじゃ、夜勤行ってきます!」  沈む気持ちを吹き飛ばすかのように、いやにハキハキとした声で直輝は言った。それに応えるべく、私は最高の笑顔で彼を送り出す。  「うん、いってらっしゃい!」
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