神様の前では誓えない

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 「未結ちゃ~んお誕生日おめでとう~」  普段あまりお酒を飲まない直輝が、この日は珍しくべろべろに酔っていた。  「はいはいありがとうありがとう。それ私のワインだったんじゃないのかな」  日曜日の夜、直輝の夜勤もなかったので、私の誕生日当日は自宅で二人きりのささやかなお祝いをした。私の誕生年のワインとグラスを直輝がプレゼントしてくれたのだけど、その大半を直輝が一人で飲んでいた。  「未結ちゃん好きだよ~大好きだよ~」  直輝は真っ赤な顔をしながらへらへらと笑っていた。  「はいはい私も好きよ。お酒弱いのにそんなに飲んで大丈夫?もう水飲んで寝たら?」  「全然酔ってないから大丈夫」  そう言ってVサインを作った直輝はどこからどう見ても泥酔していたので、私は水を取りに席を立った。こんなに酔った直輝を見るのは初めてのことだった。私が水を注いだグラスを持って戻ると、直輝はソファにもたれかかって小さな寝息を立てていた。やれやれ、と思いながら、私はグラスをテーブルの上に置き、近くに畳んでおいたタオルケットを広げた。  私が直輝にタオルケットをかけると、直輝は眠そうに目を開いた。  「あっ起きた?布団で寝る?」  直輝は私の言葉に返事をすることなく、とろんとした目で私を見ていた。それから、おもむろに私の左腕を掴むと、はっきりとした口調でこう言った。  「世界で一番、君のことが好きだよ」  言い終わった直輝は、すぐにまた眠りの世界へ戻ってしまった。それに反して、いつになく真剣な直輝の表情を見た私は、なんだかどきどきして、中々寝付くことができなかった。
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