第1話

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〇町中(朝)    町中の大通には、ちらほらと人が行き交っている。夜と比べると少し騒がしい。    扉を開けて出て来るソフィア。手提げかごを持っている。 ソフィア「買う物は、パンと、じゃがいもと、ビーフジャーキーだよね」    ソフィアは数えるように指を折る。 ソフィア(モノローグ)「昨日は、ちょっと言い過ぎたから、ちゃんとリオに謝らないとな……」    歩きながら暗い表情になるソフィア。    周りが、砂嵐のような霧に覆われていく。    歩き続けるソフィア。    周りが段々見えずらくなっていく。    やがてソフィアは霧に気づき、辺りを見渡す。 ソフィア「え? 砂嵐?」    後ずさりするソフィア、やがて背後にいる黒い服装の人物に衝突する。 ソフィア「あっ、すいま……」    ソフィアは振り向く。背後の人物をみた途端、ソフィアは一気に怯えた表情になる。 髑髏の仮面をつけ、黒いコートを着たレイヴン・トーカー(45)が立っている。    レイヴンは顔をソフィアの顔に近づけて、仮面越しに見つめる。ソフィアは怖がってその場から動けない。 レイヴン「なるほど。君は少し違うようだな」    顔を離すレイヴン。 ソフィア「だ、誰ですか?」    ソフィアの声は震えている。 レイヴン「私か? 私の事は『魔術師』とでも呼びたまえ」    レイヴンは歩き出して、ソフィアを通り過ぎる。 レイヴン「カタリナがいるな? その女に伝えておいてくれ。『この先、生きていけると思うな』とね」    ソフィアはレイヴンの後を目で追うが、追いかけない。    やがてレイヴンは、霧で見えなくなる。    ソフィア、レイヴンの姿が消えてもその方向を見つめ続ける。    そして霧が晴れる。それと同時に、遠くから悲鳴や怒号が聞こえて来る。    ソフィアは再び辺りを見渡す。    町中の人々は走って逃げまどっている。    その中にグールが数体いる。あるグールは町の人を走って追いかけており、あるグールは女性に噛みついている。 ソフィア「ぐ、グール!?」    ソフィアが声を挙げると、女性に噛みついていたグールがソフィアに気づく。    グールは女性を離す。女性は力なく倒れる。    倒れる女性を見たソフィアは、怯えた表情になる。
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