第1話

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カタリナ「ソフィアがやったわけじゃないでしょ。というか、それを言いに来たの?」    ソフィアは思い出したかのように、かごを持つ。 ソフィア「そうだった。あのね、お腹空いてないかと思って、これ作って来たの」    かごに入っているサンドイッチをカタリナに見せる。 カタリナ「おぉ! サンドイッチじゃん。おいしそー!」    カタリナは目を輝かせてまじまじと見つめる。 カタリナ「お腹ペコペコだったよ~。いただきまーす!」    カタリナは、サンドイッチを1つ手に取って食べる。 カタリナ「うん、おいしい!」 ソフィア「よかった」    笑顔になるソフィア。 カタリナ「ここに連れて来られてからすっごい暇だったけど、ソフィアが来てくれたおかげで気が晴れたよ」    食べながら喋るカタリナ。    カタリナの言葉にソフィアは返事をせず、黙っている。 ソフィア「ねぇ、カタリナ」 カタリナ「ん?」 ソフィア「金を、持ってるの?」    ソフィアの言葉を聞いて、カタリナは黙る。    少しの間、静かになる。 カタリナ「持っているって言ったらどうする?」    ソフィア、カタリナから目を反らす。 ソフィア「別に、何かするわけでも……」    カタリナ、食べかけのサンドイッチを食べて、飲み込む。 カタリナ「ごめん。今は全部話せるわけじゃないんだ。ずるい言い方になっちゃうけど、私にも色々事情があってね」    カタリナ、苦笑いする。 カタリナ「でも私は、金を持ってるからといってグールになる訳じゃないし、人を襲ったりしないから大丈夫。そこは信じてほしいな」    2人はお互いを見つめる。 ソフィア「うん、信じる」    ソフィアはカタリナの目を見て頷く。 カタリナ「優しいね。ソフィアは」 ソフィア「そう?」 カタリナ「そうだよ。普通だったら、怒ったり責めたりしそうだけど、ソフィアはそうじゃない。ねぇ、ちょっと頭近づけて」 ソフィア「え? こう?」    ソフィアは頭を鉄格子につける。    カタリナは、手を鉄格子から出して、ソフィアの頭を撫でる。 カタリナ「なんか撫でたくなっちゃった」    カタリナは微笑む。ソフィアの顔はみるみるうちに赤くなっていく。
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