第1章

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だけれど、それは10歳までだった。 僕の身体は普通の生活を送れるようになったと言っても、普通の人より体力や免疫力が余りない。 だから、風邪を引かない様にしなければならないんだ。 だけれど、その時は風邪より質が悪い……。 インフルに掛かってしまったのだ。 「ーっ今なんて」 「あっ、ーっ春人くんっ」 僕、月島春人の人生はこの日からかわった。 両親が入院をしている僕に会いに来る道、酔っ払いの飲酒運転の車に巻き込まれて、即死だったらしい。 最後は苦しまなかった、それだけ幸せだと言われた。 何故なら、飲酒運転した車は何台もの車にぶつかった上に、歩行者を何人も跳ねたから。 だから、苦しんで逝った人や今だに意識不明な人、後遺症がある人、妊娠していて我が子を流産した人や親子でドライブしていた人達で溢れていたから。 「……」 でも、僕は幸せだなんて思わない。 巻き込まれるだけで、不幸なんだよ。 苦しまないとか苦しんだとかそんな事は関係ない。 殺されたことに変わりはないんだから、小さいも大きいも関係ない。 同じ命なんだ、重たい生きていた命なんだ。
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