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上手くレフの顔を見ることが出来ない。顔の熱さも一向に収まりを見せず、張り裂けてしまいそうなくらい心臓が高鳴っている。
「アキト、お前本当に大丈夫か……? もしかして風邪か? いや、吸血衝動か? 数時間前に俺が吸ってそのままだろ? 結構お前の血を貰ってしまったから、もしかしたらそれで体調に異変を来たしているんじゃ」
真剣に心配してくれているのに、これは失礼だろう。早く、早くなんとかしなければならない。
アキトはなんとか顔を上げレフの顔を見る。だがその綺麗な顔を目に止めれば、ボボボボボと燃えるように顔が熱くなって、収まるどころか余計にひどくなってしまう、そんな悪循環に陥る。しかしこれ以上心配をかけるわけにも行かず、顔を赤く染めたまま、
「……いえ、多分それは大丈夫だと思います。思ったよりピンピンしてますし、吸血衝動はまだ起きてません。これは、なんていうか……えっと……」
「さっきも体調悪そうだっただろ?」
「っ……レフ、大尉」
レフは屈んでアキトのおでこにへと自身のおでこをぴとりと当てた。急接近するレフの顔にこれでもかと言わんばかりに顔が熱くなってしまい、思わずレフから離れようとしたが、屈んでしまっていたが為に、変に後ろによろめき尻持ちをつく。そして不自然に目を逸らしてしまえば、怪訝そうな顔で見られることとなる。
再度目を合わし、逸らしたくなる衝動を我慢しながら「すいません」と謝罪すれば「熱は無いな」と真面目な言葉を返される。そして、
「無理はするなよ」
人のことも言えない言葉を口にさせてしまった。
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