第七章 ヴァンパイアの秘密

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ちらりとレフの様子を伺ってみたが、レフも現段階で疑問に思う点はないようで静かに話を聞きながら紅茶を嗜んでいる。 次はアキトが視た事について答える番だろう。そう思いアキトが口を開きかけた時だ。――ルシフェルは歯切れ悪く「だが……」と、言葉を零したのだ。 「まだ他にある?」 そう問えば、やはり歯切れ悪く「そうだな」と言葉が返ってくる。アキトがルシフェルの言葉を待っていれば、静かに聞いていたレフがティーカップを置き、脚を組んでから「さっさと答えろ」と急かすように口にした。 その姿を見たルシフェルは「分かった」と言葉を吐きはしたものの、言いづらい話なのか、一度ティーカップを手にし、紅茶を口に含んでから再度、続きの話を切り出した。 「吸血した際に対象の記憶を覗く行為。それはメリットだけじゃない。使用者にはそれなりのデメリットも存在する。――そのデメリットが使用者の寿命を削るという事だ」 言いづらそうにしていたものの、ルシフェルはハッキリとそう言葉を口にした。 アキトが目を合わせれば、どこかバツが悪そうに視線を逸らされる為、興味なさげに「ふぅん」なんて相槌を返せば「驚かないのか?」と訊かれてしまう。 驚かなかったわけではない。ただ正直な話、記憶が選べなかったにしてもなんの対価もなしに出来る話だとは思っていなかった。当たりを引けるか引けないか、それとは別にデメリットもまた存在するのではないか、そういった可能性を立てるのは当然の話だ。 「そんなそんな良い事だらけなわけない。それにあんた僕に言ったろ? 残り少ない命だって。考えてみれば分かる事だ。なんせ不死身だ言われてるヴァンパイアが残り少ないなんて言うんだから。だからわざわざ僕を使ってまで、記憶を覗かせた。そう考えれば別に大して驚くことじゃない。――それより僕が知りたいのは他にある」
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