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「解放軍のことか……?」
アキトの最後の言葉を拾い、考える姿をルシフェルは見せたがすぐに答えが出たのか、アキトの望む答えをくれる。
そんなルシフェルにアキトは顎を引いて頷き、
「聞く限りヴァンパイア同士の争いだと思ってたけど、亀裂を生んだのはあんたと人間だろ? なんでそこに人間が関わってくるんだ」
そう、勝手にヴァンパイア同士の争いだと思い込んでいたのだ。記憶を覗いただけでは、それがヴァンパイアと人間との争いだとは理解できなかった。
だがルシフェルはそれを否定した。亀裂を生んだのがルシフェルと一人の人間だと話したのだ。それでいて共存派のルシフェルと、ルシフェルを殺し新しいヴァンパイア王国を作る改革派に別れている。なぜ人間相手にそこまでヴァンパイアが大きく動くのか理解し難いのだ。
「――それは簡単な話だ。その人間はお前と同じ、私の眷属だ。その男は私に自ら眷属にさせてくれと懇願してきた。初めは断っていたが、あまりにもしつこいから眷属にしてやったんだ。それがまさか、こんな事態を引き起こすハメになるとは思わなかったがな」
「裏切られたのか?」
「裏切り……? さぁ、どうだろうな。もしかしたら最初から反乱を起こそうとしていたのかもしれない。その男もヴァンパイアを恨んでいた。私がちゃんと疑って、眷属にさせなければこんな事態は起きなかったかもしれない」
まるで後悔の念に押し潰されそうになる自身を本能的に護るかのように、ルシフェルは自身の両手を強く握る。
王という立場でありながらも、たらればの話をしてしまいたくなる程に、ルシフェルにとってそれは大きな事態だったのだろう。もしかしたら、ルシフェル自身の大切な人をも亡くしてしまっているかもしれない。
「ヴァンパイアでも、人間らしい部分があるんだな」
ポソリと、物珍しそうに言葉を置いたのはレフだ。それは以前アキトもヴァンパイアに抱いた思いだった。
誤解とでも言えようか。ヴァンパイアときちんと話して、その本当の性質を知ればそれは人間と変わらない。そう思ってしまうのだ。
「感情がないとでも思っていたのか? 人間とそう変わりはしない。肉体の作りが違う。ただそれだけの違いだ」
ルシフェルは静かに話し、皮肉気に笑ってみせた。
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