第八章 灰色の欲望

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「レフっ、ようやくっ、ようやく会えた――っ」 瞳に大粒の涙を溜め込み、こぼれる涙はソフィアの頬を伝う。その涙をレフは指で拭い、笑顔にならない笑みを浮かべ、それでいて愛しげな瞳でソフィアと視線を交えさせる。 「ソフィア様、俺も貴女に会いたかった。しかし駄目なのです。俺はまだ貴女を救う方法を見つけてない。それなのに貴女に会ってしまっては……」 一度は抱き締めた体をレフは離し、突き放すように距離を置いた。 傍から見ても目を逸らしたなと分かる。顔すらも背け、二人の間に一線を引くようにレフは一歩後方に下がる。しかし、 「馬鹿ッ! 私がどれだけ心配したと思ってるの? 貴方が突然いなくなって、くれるのは手紙だけ。あれから五年よ? 見つける見つけないの前に、私はレフに会えて嬉しいのっ。貴方がまた……っ、またこうしてここに足を踏み入れてくれてっ! レフは私に会えて嬉しくない……?」 突き放すレフの両手をぎゅっと握り、力強い口調と眼差しをレフにへと向ける。それには流石のレフも逃げる事が出来ないのか「いいえ」と言葉を返すなり優しげに頬を緩めて、 「嬉しいです、ソフィア様」 聞いたこともない優しい声色で、見たこともない熱い眼差しをソフィアに向けていた。
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