プロローグ

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プロローグ

どうしてこうなったんだろうって、呆然と考えることがある。そういう事を考えてしまう日は、いつも決まってセックスの最中で、自分に抱かれて、嫌そうな表情をしながらも感じている大尉を見て、そう思うのだ。 お互い同意の元のセックス。でもきっとこの人は、内心では嫌で仕方ないのだろう。 僕はこの人に利用されている。不必要になれば殺されて終わりだ。だから僕も、この人をこうやって利用している。まだ死なない為に。生きていくために。 ――でもやっぱり、どうしてこうなったんだろうって考えない時はなくて、気づけばそんな悪循環に心を奪われてしまっているんだ。 もっと他の道は無かったのかなって……そんなことを。 事の発端はつい数ヶ月前。 僕は復讐する為に、小さな島国である日本を出て、ヨーロッパ大陸の端、日本の冬よりもずっとずっと寒い場所で起きた。 そこで僕は念願の軍部に配属され、出会ったのだ。僕の人生を覆す、立場すらも大きく違うこの人に。
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