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「そ。それは良かった──なら次に誘う権利も貰えそう?」
「次?…」
マリオは笑いながらハンドルを動かす。時刻は丁度9時を少し過ぎた所だ。
「次はもう少し長めに時間を貰えると有り難いけどね──」
何気に予定を詰めてくる。
「どう?」
「………」
「今日は飲めなかったけど次は是非とも一緒に楽しみたいしね…酒を」
マリオは体ごと助手席側を向く。車は丁度マンションの一つ手前で停められていた。
あたしは考える──
「次は……ちょっと」
これで逃げると食い逃げみたいだけど、これ以上の食事は……
てか、付き合いはあまりないって楠木さん言ってなかったっけ?・・・
「彼氏に悪い?」
「はい…」
マリオは率直に質問してくる。
「結構ウマイね?」
「……?」
「男の焦らし方」
「…え……」
「意識せずやってるなら魔性だな──…」
思わず言われた言葉にこっちが面食らう。そのあたしの顔をみてまたマリオは笑っていた……。
助手席のドアを外から開けて降車を促す。
「じゃあまた策を考えてみるよ──…こっちからオファー入れた以上、君は仕事のパートナーだからね。また頼むよ」
そう言ってマリオは運転席のドアを開きながらウィンクするとアクセルを踏んだ──
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