73人が本棚に入れています
本棚に追加
撮影スタッフが慌ただしく準備に取り掛かる中を俺は挨拶を交わしながら通り抜ける──
スタジオの入口に現れた舞花を目にすると俺は舞花に通りすがりながらぼそりと伝えた──
「仕事終わったら話があるから」
「……わかった」
何を言われるかもわかってんだろうか?
俺に話があるなんて言われて少し嬉しそうな顔を見る限りでは、ぜんぜんわかっていない気がする……。
撮りが終わって楠木さんの運転する車に乗って直ぐに俺は舞花に切り出していた。
「舞花…」
「なに?」
「この間、和らぎって喫茶店に行った?」
「──…っ…」
「何しにいったわけ?」
楠木さんは低い声で静かに追及する俺をミラー越しにチラリと覗いていた。
「ねえ、何しにいった?」
「……」
「普通言わないよね?俺がセックス上手いとかさ…」
「──…っ!」
「お前、大人の女としてレベル低すぎ──…最低っ…二度と行くな」
キツい一言を並べ立てる──
楠木さんは内心ハラハラしながら後ろの様子を窺っていた。
舞花は俺の口から出た言葉に密かに顔をひきつらせている。
最初のコメントを投稿しよう!