1話 わたしは悟りにほど遠い人間です…

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「なんのなんの、お婆さん、大丈夫ですよ。今日は暑いくらいの陽気です…丁度よい涼み《すずみ》となりました…」 『もうお昼ですね、そういえばお腹が空いてきましたね…確か大塚にうまいお寿司屋さんがあると檀家さまが言っておりましたから、そこに行ってみることにしましょう』と『小坊主』さんこと私『楽念』は大塚に向かいます。  今、生ぐさ坊主と思われた方がいるかもしれません…しかし『強く引っ張られている紐はすぐ切れてしまうもの、一方丁度よく引っ張っている紐はなかなか切れないもの』同様に『強風の中では、硬い木の枝は折れてしまうが(やなぎ)の枝は折れないもの』が如く《ごとく》、無理をすれば良い心と身体の状態を保てないもの…  人間の身体にはタンパク質が必要なのですから、無理なく補給する…それもまた『真成』ということで、私は身体のためにやむを得ず『お寿司』を食べます。  「大将、ビントロ2枚とエンガワ2枚お願いします!」  「はいよ、ビントロ2枚とエンガワ2枚ね」 『ああ、待ち遠しい《まちどおしい》、食欲を抑えられない。そんな私は悟りにはほど遠い存在なのです』と思っていると大将が…  「はいよ、ビントロ2枚とエンガワ2枚…」  「どうも…」 『くぅー、なんてデェリシャスなんでしょう!口の中が幸せで溢れ(あふれ)かえります』と思ってしまう私『楽念』のお話はこれからも続きます…
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