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「……ひぇ~。こりゃ、ひでーなぁー。ひとりでやけ酒かよ」
「あははは……」
「来年はいっしょにいるから。美亜の誕生日、絶対、いっしょに祝うから」
「うん、ありがとう……」
いつもだったら、うれしすぎて、すぐにでも彼の胸に飛び込んでただろう。
だけど、今は素直によろこべない。
彼を裏切ってしまった後ろめたさと後悔から、胸が押しつぶされそう。
なんで、こうなっちゃったんだろう。
寂しさから?
レストランに取り残されたから?
カレに同情しちゃったせい?
酔った勢い?
ううん、全部偶然が重なっちゃったんだ。
寝室のゆらゆらと揺れるカーテンから、うっすらとカレのシルエットが浮かび上がる。
目の前に彼がいながら、数メートル先のカレを思う自分がいた。
カレに出会ったのは、きのうの夜────。
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