43人が本棚に入れています
本棚に追加
『はーい、乾杯!』
乾杯の掛け声と同時に、キンキンに冷えたビールジョッキがぶつかり合う。
目の前に5人の男子と、いつもより気合の入った友達のアズサと、その友達3人と、そして私。
これって、どう見ても……!
『美亜、ごめんってば!』
『女子会じゃなかったの?』
『だって、合コンだって言ったら、絶対来なかったでしょ?』
『当たり前でしょ!』
『てか、逆に感謝してもらいたいわよ。私が電話しなきゃ、美亜、ぼっち誕生日を迎えるとこだったのよ』
『まぁ……、そうなんだけど』
私はくいっと飲み干すと、数時間前、彼のケイゴに置き去りにされたことを思い出す。
私の誕生日のために、数か月前から予約してたという有名なレストラン。
目の前に豪華な食事がそろったそのとき、彼の携帯が鳴って、仕事の打ち合わせが入ったからと言って一人取り残された。
彼の仕事がうまくいってることを喜ぶべきなのに、その成功のせいで彼との時間が奪われていく。
仕事なんだから仕方ないんだって言い聞かせながらも、口に運ぶ料理は味気ないものだった。
最初のコメントを投稿しよう!