#01.お持ち帰り、しちゃいました。

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『はーい、乾杯!』  乾杯の掛け声と同時に、キンキンに冷えたビールジョッキがぶつかり合う。  目の前に5人の男子と、いつもより気合(きあい)の入った友達のアズサと、その友達3人と、そして私。  これって、どう見ても……! 『美亜、ごめんってば!』 『女子会じゃなかったの?』 『だって、合コンだって言ったら、絶対来なかったでしょ?』 『当たり前でしょ!』 『てか、逆に感謝してもらいたいわよ。私が電話しなきゃ、美亜、ぼっち誕生日を迎えるとこだったのよ』 『まぁ……、そうなんだけど』  私はくいっと飲み干すと、数時間前、彼のケイゴに置き去りにされたことを思い出す。  私の誕生日のために、数か月前から予約してたという有名なレストラン。  目の前に豪華な食事がそろったそのとき、彼の携帯が鳴って、仕事の打ち合わせが入ったからと言って一人取り残された。  彼の仕事がうまくいってることを喜ぶべきなのに、その成功のせいで彼との時間が奪われていく。  仕事なんだから仕方ないんだって言い聞かせながらも、口に運ぶ料理は味気(あじけ)ないものだった。
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