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『もう飲んじゃったの? 美亜、ペース早くない? ま、ここ、彼らのおごりだって言うし、今日はぱあっと楽しんじゃお。たまには羽目外しちゃえ』
『……でも、なんか気が進まない』
『えっ、そお? 今日はなかなかのイケメン揃いなんだけどなぁ』
『それで、アズサのどういった知り合いなの?』
『別に知り合いってほどじゃないよ。今日、食堂で、それもたまたま座ったテーブルの隣に彼らがいたってだけ。ほら、一番奥の彼、サクヤくんっていうんだけど、なんか彼女にフラれちゃったみたいなんだよね。今日は彼を元気づけさせようってことで、“レッツ合コン!”ってことになったの』
『なにそれ、なんか軽~。っていうことは、みんな同じ大学?』
『そっ、理学部らしいよ。どお、気になる人いた?』
『いない』
『えぇ~っ、悲しいこと言わないで。とにかく楽しも! 運良ければ男ゲットできるかもしれないし、お互いがんばろ!』
『だね』
空のジョッキを片手に、気づけば周りはカップル成立しつつあった。
ついさっきまで私と話していたアズサも、お目当ての男子の隣をキープしちゃってるし。
私だけが浮いちゃってる……。
私が彼氏持ちだってことは、誰も知らない。
別に秘密にしていたわけでもないし、彼に言われたからでもない。
たまたま付き合った相手がモデルとして成功して、瞬く間に有名になっちゃったもんだから、言えなくなっちゃって。
ほんの数年前まで本屋の店員さんだったのになぁ。
今はちょっと遠くに感じる……。
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