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『美亜さん、大丈夫?』
『だだだ大丈夫、自分で拭くから! てか、なんの話だっけ?』
一気に酔いは醒めましたけどね。
『地元に残してきた、彼女の話。しかも、新しい男が俺のダチってさ、笑えるよね~』
『いやいや、全然笑えないんですけど……』
『おっ! それ、飲まないんならちょーだい』
『あっ、私の!』
『未亜さんと間接チューだ』
『もう飲み過ぎ!』
『ははは。こんなの全然。ぜーんぜん、飲んだうちにならないって』
『もう十分、飲んだでしょ。そろそろ帰ろ』
立ち上がる私に、サクヤくんが空のグラスを突き出す。
『ほら、未亜さんもじゃんじゃん飲んで、嫌なことパーッと忘れちゃおう!』
『私は別に……。てか、それ入ってないし』
『いや、注いでくれる人必要だし。ねぇ、つきあってよ。お願い』
『……わかった、ちょっとだけね』
そう、ずるずると。
ずるずると、ね。
カレをなぐさめてあげるつもりが、一緒に飲んでいたらなぜか意気投合しちゃって。
これもまたなぜなのか、カレの策略なのか?
このあと、私の家で飲み直そうということになり、酔った勢いで私は彼氏以外の男性に体を許してしまった────。
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