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「きゃっ」
勢い余って何もない廊下で躓きよろめくと、一彬が広い胸でそっと受け止めた。
すると彼のダークスーツから海を思わせる碧い匂いが香る。一彬の香水の香りは、出会った頃から変わらない。
「すみません……」
「……今17か?」
「18です、次の誕生日で」
「高校を卒業する歳だな……」
一彬は華生を抱いたまま頭を撫でる。子ども扱いされているのだとしてもそれはそれで嬉しい。華生は喉を撫でられている猫のようにじっとしている。
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