四章

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一夜明けて、華生のスマートフォンに鑑田からメッセージが届いた。 「落ち着いた?」 鑑田さんには、気を遣わせてばかりだ…… 華生は「大丈夫です。たびたびご心配お掛けして申し訳ありません」と返事を返す。 「今からそっちに伺ってもいいかな?」 受験勉強などしない華生は大概用事がない。 「もちろん。お待ちしております」 華生は髪を綺麗に梳かしつけてリボンのバレッタを付ける。ものの一五分くらいでインターホンが鳴った。 世津子(せつこ)が出ようとしたので「鑑田さんだから」と制して自分で玄関の扉を開ける。鑑田は手ぶらで玄関前に立っていた。 「早かったですね、鑑田さん」 「近くにいたから。あの後、大丈夫だった?」
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